【勉強のやる気が出ない原因】自己効力感を高めて学習性無力感を克服しよう
あなたは勉強のやる気が出ない原因について考えたことはありますか?
勉強のやる気を出すためにはまず、勉強のやる気が出ない原因を知る必要があります。そこでご紹介したいのが、「学習性無力感」です。知らず知らずの内に多くの方は学習性無力感に陥り、勉強のやる気が出なくなっています。
この記事では学習性無力感から勉強のやる気が出ない原因について解説します。学習性無力感を克服して勉強のやる気を出す方法もご紹介していますので、ぜひご参考にしてください。
- 勉強のやる気が出ない方
- 学習性無力感について知りたい方
- 自己効力感を高めたい方
知らない内にあなたも学習性無力感に陥っているかも…
学習性無力感とは
学習性無力感とは、何をやっても無駄だと学習し全く行動を起こさなくなる現象のことです。この学習性無力感は1960年代にアメリカの心理学者であるマーティン・セリグマンらによって発見されました。
セリグマン氏は下記の実験によって学習性無力感を発見しました。
1.1日目に犬を以下の2つのチームに分けてそれぞれに下記の実験を行う。
- ハンモックに吊るされ、身動きが取れない状態で電撃を受ける。
- 同じように吊るされるが、電撃は受けない。
2.2日目に低い柵で仕切られた箱に犬を入れる。
3.ランプが点いてから10秒後、箱の中の床に電撃を流す。(柵を跳び超えれば電撃を回避でき、そのまま留まっていれば1分間電撃を受ける。)
この実験の結果、②のチームは柵を跳び超えて逃げることを学習しました。一方、②のチームはなんとその場に留まったままだったのです。
つまり、②のチームは1日目にどんな努力をしても電撃を回避することはできないことを学習してしまい、2日目も電撃を受け続けたと解釈できます。これを学習性無力感と名付けました。
学習性無力感は人間にも当てはまる
オレゴン州立大学の大学院生だったドナルド・ヒロトは学習性無力感の実験を人間で行いました。とは言っても、人間に電撃を与えることはできないので、下記の方法でアプローチしました。
1.人間を以下の2チームに分けてそれぞれの部屋に不愉快な騒音を流す。
- 正しい手順でボタンを押せば騒音は止まる。
- 自分の意思では騒音を止められない。
2.両チームともに別の部屋に連れて行く。
3.両チームともに箱の中である操作を行うことで騒音を止められるようにする。
この実験の結果、①のチームは騒音を止め、②のチームは騒音を我慢していました。この結果から、人間にも学習性無力感があることが分かります。
私は塾を経営しているのですが、そこの生徒から「どうせ勉強しても意味がない…」という発言を聞くことが多くあります。これはまさに学習性無力感に陥っている証拠です。
学生の方は学習性無力感の実験を受けていません。しかし、幼い頃から勉強で成功体験を得なかった学生は、知らない内に学習性無力感に陥っています。
学習性無力感にはまるとどんどんできない自分になる
学習性無力感にはまるとどんどんできない自分になってしまいます。これについて研究したのは、心理学者のチャリス・ニクソンです。
1.学生たちにある問題用紙を配る。全員同じ問題ではなく、生徒をAチームとBチームの半分に分けてそれぞれ違う問題とする。(学生たちにはその事実を知らせない)
2.問題の内容は「英単語のスペルを並び替えて別の単語を作る」というもの。(いわゆるアナグラム)
3.Aチームの問題用紙には「bat」と書かれており、Bチームの問題用紙には「whirl」と書いている。
※「whirl」は並び替えても別の単語を作れない。
4.問題を解けた生徒に挙手させる。
2問目以降も同じように、Aチームには解ける問題を、Bチームには解けない問題を渡し続けました。このようにして、Bチームの無力感を高めていきます。
そして、最後の問題ではAチームBチーム共に「cinemara」という問題を出します。これを並び替えると「american」となる、アメリカ人なら簡単な問題です。
しかし、AチームとBチームの正答率には大きな差が生じました。Bチームの学生は本来解けるはずの問題も学習性無力感により解けなくなったのです。
つまり、これまで勉強やスポーツなどで失敗を経験し、学習性無力感にはまってしまうと、「どうせやっても無理…」と諦め、どんどんできない自分になってしまいます。
【学習性無力感の対処方法】自己効力感を身につけよう
学習性無力感を発見したセリグマン氏は全ての犬が学習性無力感に陥ったわけではなかったと発言しました。これは、人間の実験でも同じでした。ある一定の割合の人は学習性無力感に陥らなかったのです。
「やっても無理…」という考え方の反対は「やればできる!」というポジティブな考え方です。この考え方を自己効力感と言います。自己効力感を提唱したロバート・バンデューラによると、自己効力感があれば困難に直面しても乗り越えられるようになります。
- 達成体験を得る
- 代理経験を得る
- 言語的説得
- 生理的喚起
1つずつ見ていきましょう。
達成体験を得る
自己効力感を身につけるために、達成体験を得ましょう。
「自分はやればできる!」と思っていても、潜在意識では「どうせ無理かも…」と思ってしまいます。この潜在意識を「自分はやればできる!」と思わせるために達成体験が必要です。
例えば、いきなり「70ページもある問題集を1週間で終わらせてください。」と言われたとします。この時、「70ページ終わらせる」という目標に向かってひたすら頑張っていても、途中でしんどくなるでしょう。
そこで、「1日10ページずつ終わらせる」という目標にします。すると、毎日10ページを終わらせることで達成体験を得られます。そして、自己効力感が身につき、問題集を終わらせられるでしょう。
もちろん大きな達成体験を得ると大きな自己効力感を身につけられます。しかし、それでは失敗する確率も高いです。
そこで、小さな達成体験を少しずつ得るようにしましょう。この小さな達成体験を積むことで大きな自己効力感を得られます。
代理経験を得る
代理経験とは、他の人が達成しているのを見て「自分もできるかも」と思うことです。他の人に代理で達成体験をしてもらうことで自己効力感を高められます。
例えば、「友達がテストで満点をとった」といったようなことです。このように、よく知っている身近な人が成功することで「あいつができるなら…」とハードルが下がります。
代理経験を得るためには、成功していきそうな人の側に行くことがおすすめです。身近にいないようであれば、Twitterで勉強垢を作り、同じような目標を持っている人をフォローすると良いでしょう。
言語的説得
言語的説得とは「君ならできる!」といったように言葉で肯定してもらうことです。松岡修造さんの言葉をずっと聞いていると自己効力感は高まりますよね。
学習コーチングは生徒の成績アップなどの目標達成に必要な力を引き出すサービスです。基本的にコーチが1人付いてくれ、面談で毎回励ましてもらえます。
生理的喚起
心と身体は大きく影響し合っています。そのため、学習性無力感に陥ってしまえば、体が弱まってしまうのです。
反対に、体が元気であれば自己効力感は高まります。つまり、健康な体を維持できると、自己効力感は高まるのです。
健康な体を維持するためには、食事や睡眠、適度な運動を心がけると良いでしょう。
学習性無力感を克服して勉強のやる気をアップしよう
多くの学生は学習性無力感に陥っています。そのため、「どうせ勉強しても意味ないよ…」といったように感じ、勉強のやる気をなくしているのです。
学習性無力感は自己効力感を高めることによって克服できます。自己効力感を高める方法は下記の4つです。
- 達成体験を得る
- 代理経験を得る
- 言語的説得
- 生理的喚起
この4つを全部する必要はありません。どれか1つでも行うと、自己効力感は高まり、勉強のやる気がアップします。
ぜひこの記事を参考にして、勉強のやる気ををアップしましょう!