こんにちは、元小学校教員で現在学習塾を経営しているモグラです!
あなたは宿題のメリットについて考えたことはありますか?中には、宿題なんて必要ない!と思っている方もいるでしょう。私も教員時代、宿題は必要ないと考えていました。
しかし、宿題を全くなしにしてしまっても問題は生じます。そこでこの記事では宿題のメリットについて解説します。また、新しい宿題方法・けテぶれについても紹介しますのでぜひ最後まで読んでくださいね。
この記事を読むと、より主体的に子どもが宿題をする方法がわかります。
- 宿題の必要性に疑問を感じている方
- 宿題の出し方がわからない教育関係者の方
- マジメに宿題をやっているのに成績が上がらない学生の方
宿題は学習の重要な過程
宿題は必要なのか、誰しもが考えたことがあるでしょう。
将棋棋士の藤井聡太さんは、「授業をきちんと聞いているのに、なぜ宿題をやるんですか?」と担任教員に聞いたことがあるそうです。その後、担任教員が宿題の意義について説明し、藤井聡太棋聖は納得して宿題を出すようになったそうですが、この疑問は多くの子どもが感じているのではないでしょうか?
実際千代田区立麹町中学校で校長をしていた工藤勇一氏は、学校全体で宿題を廃止したにも関わらず学力を向上したことで話題になりました。
そのような中、宿題の効果研究の第一人者であるアメリカのデューク大学教授・ハリス=クーパー氏は200人に及ぶ研究結果を分析しました。この研究結果によると、宿題よりも子どもが「楽しい」と思う時間を増やすことの方が成績向上に繋がることが分かります。
ただ、クーパー氏は宿題は学習の重要な過程と位置づけしており、多すぎない宿題は効果的と謳っています。また、年齢が上がるほどに宿題は効果的で、小学生に宿題を出すのは、時間管理と学習習慣を身に付けさせる意味合いが強いとしています。
宿題のメリット3選
クーパー氏も話しているように、宿題を出すことにはメリットが多くあります。ここでは宿題のメリットを3つ紹介します。
時間管理・学習習慣が身につく
宿題がなければ自主学習を全くしないという子どもは実際にいます。このような子を放ってしまうと、学習習慣を身につけさせられません。
宿題を出すことで学習する習慣が強制的につくられます。また、この宿題をする時間を決めることを繰り返していくうちに、時間管理にも強くなります。
将来的に考えても宿題はメリットになるでしょう。
学習すべき内容がわかる
宿題があることで、学習すべき内容が分かります。
何をどのように学習すれば良いのか分からないという子どもは多くいます。しかし、宿題を真面目にするだけで成績はある程度伸びるでしょう。
これは子どもにとってかなりのメリットになります。
反復学習を行える
宿題を行うことで学校の授業の反復学習を行えます。多くの授業は1時間弱に設定されています。この時間内では授業をすることに精一杯で、子どもが反復学習を行う時間はあまりとれません。
そのため、この反復学習を行うために宿題は重要な役割を果たしています。
多くの教員は宿題を重要視していない!?
しかし、多くの教員はここまで宿題のことを考えていません。(もちろん宿題についても考えて出している方もいます!)多くの教員は、3つの理由から宿題を出しているようです。
授業時間内で学習内容を定着させることが厳しい
教員は、決められたカリキュラムで決められた内容を子どもたちに授業しなくてはいけません。その限られた時間内で、1単元だけに授業時間を多く費やすことはできません。
そのため、学校の授業でまかなえなかった練習問題などを宿題として家庭学習させることで、その学習内容を定着させようと図っているのです。
最近では、宿題用にドリルやスキルを購入している学校もありますので、教員は、ただ出すだけとなっています。
周りも当たり前のように出している
教員1年目の頃、何もわからないまま担任を任せられたという教員がほとんどです。私も、1年目の頃は宿題は先輩に言われるがままに出していました。いきなりクラス担任を持たされ授業など手探りでやっていく中で、宿題についてまで考える余裕はなかなかありません。
そんな中で、宿題についてまで学ぶ時間もありません。そのため「周りが出しているから」と合わせて宿題を出していることに慣れ、考えずに宿題を出してしまっているのです。
また、同じ学年で宿題の量や内容を揃えるようなこともあります。このような状況では、宿題について真剣に出している教員が珍しくても不思議ではありませんよね。
3 保護者から宿題について相談される
宿題を出すことが当たり前となっているのは教員だけではありません。保護者の方の多くも、学校は宿題を出してくれると思っているでしょう。
特に、教育熱心な方からは、宿題の量が少ないと、「もう少し宿題を出してくれません?」と訴えてくることもあります。
このような背景から、家庭学習をしていないと不安と言う保護者の方が多いと分かります。そのため、教員の多くは宿題を出すしかないと考えるのです。
多くの宿題は良い学習から遠ざかっている!?
宿題について考えてきましたが、そもそも良い学習とは何なのでしょうか。「知らなかったこと、分からなかったことが分かるようになること」のことを学習と呼びます。
しかし上記のように考えると、宿題には次の様な問題点があります。
知らないことや分からないことはスルーしてしまう
私は漢字10文字ずつ練習すると言う宿題が出たときには、へんだけ10個書いてその後つくりを10個付け足すという、楽になるのかわからないけど楽になりそうな技を行っていました。これに似たようなことをした経験がある方は多くいらっしゃるでしょう。
しかし、このように提出することだけを考えて宿題をした結果、宿題は学習から作業となりもちろん学力は伸びません。宿題を増やせば増やすほど、この傾向になると言えるでしょう。また、自ら課題を発見したり、解決する力が伸びないことも考えられます。
教員は子ども達それぞれに適した宿題は出せない
教員はそれぞれに適した宿題を用意する時間などありません。なんせ、クラスには30人ほどもいますからね…。
しかしみんな同じ学習内容にしてしまうと、すでに理解している子どもにはムダな時間となってしまいます。そのため何か学びたいことがあっても、宿題をしてからになってしまうため、好奇心が後回しされてしまいます。
つまり、自分の学習したい内容と宿題の内容が異なることがほとんどなのです。
本当の学習を取り戻すけテぶれ
自ら課題を発見しその課題の解決方法を考えることこそ、本当の学習に必要な力になります。そこで、私が教員時代に学級で実践していた宿題の方法を紹介します。
それは「けテぶれ」です。「けテぶれ」とは兵庫県の小学校で勤務している葛原祥太さんが提唱している学習方法です。
けテぶれとは
け・・・計画
テ・・・テスト
ぶ・・・分析
れ・・・練習
を繰り返し行う学習方法です。
簡単に言うと、今日の勉強の計画をし、自分でテストして丸をつけ、間違いを分析し、今後間違えないように練習するという学習方法です。PDCAサイクルのようなものですね。
けテぶれのメリットはは多く挙げられるのですが、今回は2つ紹介します。
- 自分を客観的に見る「メタ認知能力」が育つ
- 自分で学習方法を発明できる
1 自分を客観的に見る「メタ認知能力」が育つ
「メタ認知能力」とは、自分の認知活動を客観的に捉える、つまり、自らの認知(考える・感じる・記憶する・判断するなど)を認知する能力のこと」です。
けテぶれを行うことによって、「テストで合格点を取るという目標に対して、今自分はどこにいるのか。何ができていて、何ができないのか」ということを客観的に見極める力がつきます。
また、毎日自分の学習と向き合うことで、過去の自分と今の自分を比べ、「自分の成長を自分で感じる」ことができるようになります。この視点が育つと、過去の失敗が今の自分の成長に繋がっていることに気がつくでしょう。
2 自分で学習方法を発明できる
例えば、九九を覚えるために「たくさん唱える」という手段があります。それがいつの間にか「たくさん唱える」ことがすばらしいように感じ、「たくさん唱える」ことが目的化してしまいます。このような経験をしたことがある方は多くいるのではないでしょうか。
しかし、けテぶれでは手段が目的化することはありません。目標はあくまで「九九を覚えること」。それができれば手段は自由なのです。
私がもっていた小学2年生のクラスでは、九九の歌を作ったり、絵を描いて覚えているような子どももいました。たくさんの試行の中で、自分に合った学習方法を見つけていくのです。
まとめ
このように、教員が一方的に出す宿題はもう古く、主体的に勉強する力をつけることこそ、今後の教育に必要になります。この記事を読んでくれた方も、子どもに勉強をを押し付けるのではなく、自ら楽しませてみてください。
また、もしまだ学生で宿題についてやる気が出ない方も、自分なりの学習方法をして楽しく学びましょう。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
「けテぶれ」宿題革命! 子どもが自立した学習者に変わる! /学陽書房/葛原祥太