あなたは子どもに何かを教えるとき、または何かを任せたとき「分かった!」という返答が返ってきたのを鵜呑みにし、結局「いや、分かってへんやないかーい!」とツッコみたくなった経験はありませんか?
私は教員をしていたころ、よくありました。特に経験の浅かった初任者のころは、ついつい「分かった?」と聞いて子どもが満足そうに「分かった!簡単やん!」と答えたことを鵜呑みにして、簡単に安心していました。
しかし、実際は何も理解できていないことが多かったです。そこでこの記事では、子どもの「分かった!」という答えは本当に分かっているのか解説します。
- 子育てに困っている保護者の方
- 子どもが授業を理解しているのか不安に思っている教師や講師などの指導者の方
- 学習内容をわかったつもりでもテストでいい点を取れない学生の方
子どものわかった!!はわかっていない?!
私が教員の頃、授業の中で「この問題は分かりましたか?」と聞いて子どもたちが「分かった!」と答えるやりとりを行っている時期がありました。しかし、「では、同じように次の問題をしてみましょう」と全く似ている問題を提示すると、「・・・??」と固まってしまうことが多くありました。
あなたもそのような経験はありませんか?
例えば、家で子どもの宿題をみてあげるとき、最初は子どもも「分からないから教えて!」と言うかもしれません。そして、一問目のやり方を教えてあげ、「よし、できそう!」「じゃあ次の問題は一人でやってみな」となっても、えんぴつは動くことがなく結局最後まで教えちゃったと言う経験がある保護者の方はめずらしくないようです。
このように、子どもが「分かった!」と言っても分かっていないことは多くあります。
なぜ子どもは見栄を張っちゃうの?!
ではなぜ子どもは分かっていないのに「分かった!」と言ってしまうのでしょうか。
その答えは、「大人の顔を気にしている」と「分かったつもりになっている」という2つの原因が挙げられます。
大人の顔を気にしている
子どもはさまざまなことを学び、その都度大人に「○○を分かってすごいね〜」と言うように、褒められてきています。逆に分からなかった場合、大人から「なんでこんなことも分からないの?!」ときつく言われたり、あきれられる経験をしている子どももいます。
そのため、子どもたちは「分かっている」ことに価値があると思い、分かっていなくても分かったふりをし始めるのです。
分かったつもりになっている
子どもは分かっていなくてもすぐに「分かった!」と言ってしまうことがあります。ただ、この時子どもは心から分かったと思い込んでいます。
しかし、「分かった」にもレベルがありますよね。
例えば、算数のかけ算の文章問題を解いてもらい説明させてみると、「式は2×4です!」と答えますが、「なんで2×4なの?」と聞くと、「う〜ん・・・」となることがあります。この段階では、本当の意味で理解していることにはなりません。
本当の意味での理解を目指す
では、子どもが本当の意味で「分かった!」と言うようになるために、私たちは何ができるでしょうか。ここでは、3つの解決策をご紹介します。
「分かった?」と聞かない
ついつい「分かった?」と聞いてしまいますよね。この言葉は大人の安心を求める気持ちから出てきます。
子どもに教育している中で、どうしても「本当に分かっているのかなあ?」と不安になることはありますよね。しかし、子どもからするとその質問には「分かった」か「分からない」の2択しかありません。
もし「分からない」を選択してしまえば、「怒られるかも・・・」や「あきれられるかも・・・」というネガティブな感情が生まれるため、分かっていなくても「分かった」を選択するのです。
では、どのようにして子どもの理解を測れば良いのでしょうか。子どもが理解しているのか確認するためには、その問題に対する感想を聞きましょう。
例えば、問題を解き終わった子どもに対して「この問題の感想はある?」と聞きます。すると、子どもは「難しかった!」と答えやすいです。
このように、子どもが「分からなかった!」「難しい!」と答えやすいようにしましょう。
メタ認知能力を育てる
子どもは、客観的に自分のことを見る力がまだまだ不十分です。そのため、どこが分からないのかも分からないときもあります。
そこで自分のことを第三者目線で見て、「今ここが分かっていないのか」とふりかえることが大切です。そのためにも、自分の中にキャラクターを作ってあげると客観的に見やすくなります。
例えば私の場合、私のキャラクターにしているモグラを自分の中に作りモグラに説明してあげます。そのとき、モグラになり「それはなんで?」と自分に聞くことで、理解力を詰めていきます。
私の場合はモグラですが、有名な漫画やアニメのキャラクターでもいいかでしょう。
「分かった」をレベル分けする

このピラミッドは、米国大学・研究図書館協会が提示した「ラーニングピラミッド」です。
簡単に説明すると、学校の授業を受けただけの状態では理解度は5%のみで、下に行くことができるほど理解度は高いということです。
このように、「分かった」にもレベルがあるということを子どもに教え、今どのくらい分かっているのかをはっきりしてあげることが大切です。今このくらい理解しているというのが分かるだけで、伸びしろがぐんと増えます。
まとめ
子どもたちに教育する方や指導する方は子どもの頭の中まで見ることはできないので、「本当に分かっているのかなあ」と不安になりますよね。また、分かったつもりなのに「テストでいい点が取れない!」と悩んでいる子は珍しくありません。
今回挙げたラーニングピラミッドは、そんな大人の悩みや子どもの悩みを解決できます。大人も子どももストレスなく過ごしていきましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました!