不登校の子どもを見て「全然勉強しないけど大丈夫かな?」という心配を抱えていませんか?
「高校受験もあるから勉強してほしい」と願う親御さんは多いでしょう。
そこでこの記事では、不登校の中学生が勉強しない理由について元教員が解説していきます。
勉強しない中学生への親の対応や不登校の子どもの勉強方法についても解説していますので、ぜひご参考にしてください!
- 学校に通えていない中学生
- 子どもが不登校になった保護者の方
- 子どもの高校受験が心配な方
不登校の中学生が勉強しない理由
不登校の中学生が勉強しないことにはいくつか理由があります。
ここでは下記の3つについて解説していきます。
- 勉強する意味がないと感じている
- 1人で勉強する方法が分からない
- 勉強する心の余裕がない
勉強しても意味がないと感じている
不登校の中学生は、勉強しても意味がないと感じていることが多いです。
学校へ行っている中学生でさえ、「テストのため」「入試のため」と感じている方は多くいます。
方程式を解いたり、歴史の年号を覚えたりしても、「日常の役に立つのか分からない」と感じるのも無理はありません。
ましてや、ほとんどの不登校中学生は将来に不安を抱えています。
将来が見えていない状態で、勉強する意味を見つけることは簡単ではないでしょう。
1人で勉強する方法が分からない
不登校になると、学校の授業を受けられないため、1人で勉強を進めなければいけません。
しかし、中学生が1人で勉強を進めることは困難です。
特に英語と数学は、何から始めれば良いのか分からないと感じる方が多くいます。
また、学校に通っている同級生と自分を比較し、焦ってしまうこともあります。
その間も、学校の授業はどんどん進んでいるため、勉強することを諦めてしまうのです。
勉強する心の余裕がない
不登校になっている中学生の多くは、心が疲れている状態になっています。
そんな中、勉強に意識を持っていくのは困難です。
勉強よりも、まずは心を休ませる時間が必要な場合もあります。
子どもの様子を見て、話をしっかり聞いた上で、勉強について検討しましょう。
不登校の中学生が勉強した方が良い理由
不登校の問題があるとは言え、もちろん勉強することにはメリットがあります。
子どもに勉強する余裕がないときは優先することではありませんが、親御さんは引き出しとして勉強するメリットを知っておくことが大切です。
不登校の中学生が勉強するメリットは主に下記の3つが挙げられます。
- 高校受験ができる
- 将来の選択肢が増える
- 工夫する力が養われる
それぞれ確認していきます。
高校受験をできる
不登校でも高校進学を目指すことはできます。
ただし、公立高校受験では、欠席日数が合否に関わる可能性が高いです。
そのため、不登校の中学生の受験は選択肢が狭まります。
不登校の中学生が受験できる高校は主に下記の選択肢が挙げられます。
- 私立高校
- 定時制高校
- 通信制高校
上記の選択肢では、欠席日数の指定がないことがほとんどです。
それぞれの高校の特徴をしっかり調べた上で、高校受験も検討してみてはいかがでしょうか。
将来の選択肢が増える
勉強は学力を上げるだけでなく、興味関心の幅を広げられます。
興味関心が湧いた内容を突き詰め、将来の仕事を決める方も少なくありません。
また、不登校でも勉強を続けていれば、一般的な学力を得られます。
そうすると、高校に行かなくても、高卒認定試験を受け、大学進学も可能です。
将来、やりたいことを見つけても、学歴によってできないこともあります。
そうならないためにも、勉強を続けておくことがおすすめです。
工夫する力が養われる
勉強することは地道な作業です。
しかし、その中で自分なりの勉強法を身につける必要があります。
「どのようにすれば効率的に暗記できるのか」
「楽しく勉強することはできるのか」
と考えるうち、創意工夫して勉強するようになるでしょう。
このように工夫する力は、生きていく上で大切な力です。
勉強すれば、工夫する力以外にもさまざまな生きていく上で必要な力が養われます。
不登校の中学生の理想勉強時間
学校の授業を受けている場合、1日5時間(50分×6授業)勉強していることになります。
それに加え、1日の自習時間は平均約1時間30分です。
不登校の中学生も、それ相応の勉強が必要です。
しかし、1人で長時間勉強することは簡単ではありません。
そのため、不登校の中学生は平均3〜4時間程度勉強している方が多いです。
ただし、子どもの成績や志望校によって異なるため、塾などの専門家で子どもの理想の勉強時間を相談すると良いでしょう。
勉強時間を確保するコツ
春休みに勉強時間を確保するコツは、次の2つです。
- 学校に行く日と同じ時間に起床し、机に向かう
- 夕食をとったらすぐに自室に戻る
不登校生が陥りやすい「ダラダラ生活」を阻止する秘訣です。
学校に行っている日と同じ生活リズムで、朝や夕食後も「スッと行動する」ことを心がけると、勉強時間がつくりやすくなります。
勉強しない中学生に親がすべき対応
では、不登校の中学生に親御さんはどのような対応をすれば良いのでしょうか。
ここでは、勉強しない中学生への対応方法をご紹介します。
- 学習環境を整える
- 子ども自ら勉強しようと思うまで待つ
- 親も一緒に勉強する
学習環境を整える
まずは、学習スペースを整えましょう。
学習スペースが散らかっていると、勉強に集中できません。
また、学習スペースにゲームや漫画などの誘惑があると、なかなか勉強に取り組めないでしょう。
学習スペースには、勉強に必要な文房具、教材以外必要ありません。
学習するスペースとゆっくり休憩するスペースを分けられると、なお良いです。
子ども自ら勉強しようと思うまで待つ
先述したように、不登校の子どもは勉強に取り組む余裕がないこともあります。
まずは、子どもの心が回復するまで待ちましょう。
とはいえ、何もしていないと何も変わりません。
子どもの良いところを挙げ、子どもの自己肯定感を高めるなどして、子どもの心を回復させましょう。
もし難しいようであれば、専門機関に頼ることもおすすめです。
- スクールカウンセラー
- 児童相談所・児童相談センター
- ひきこもり地域支援センター
- 発達障害支援センター
- 教育センター
- 親の会
上記の相談先以外にも、民間の支援団体やフリースクールなど全国にさまざまな不登校支援を行っている団体があります。
無料で相談できる場所も多いので、積極的に相談することがおすすめです。
そして、子どもが自ら勉強しようという気持ちが生まれたら、全力でサポートしましょう。
親も一緒に勉強する
子どもは親の鏡です。
親御さんの行動を真似する傾向にあります。
親御さんが勉強をしている姿を見せれば、子どもも勉強しようという気持ちになりやすくなります。
特に勉強することがなければ、本を読むだけでもOKです。
勉強してほしいときに親がしてはいけない対応
逆に、親御さんがしてしまいがちだが、してはいけないことをご紹介します。
- いきなり無理をさせる
- 「勉強しなさい」と言う
- 他人と比べる
いきなり無理をさせる
「0→1」の作業は多くの労力が必要です。
それにも関わらず、いきなり長時間勉強する目標をたててしまう方は多いでしょう。
いきなり長時間勉強することは、大人でも困難です。
まずは、
・「10分だけ机に座ってみる」
・「読書から始める」
などそれぞれのペースで勉強をスタートしましょう。
「勉強しなさい」と言う
勉強しない子どもに対して「勉強しなさい」と言っても効果はありません。
むしろ、子どもはその命令に対して逆の行動を取りたくなります。
そこで、アプローチを変えましょう。
「勉強しなさい」と言う
→勉強しない
→また「勉強しなさい」と言う
このループでは勉強しないのも当然。
失敗すれば改善する必要があります。
例えば、少しでも勉強していれば「勉強がんばっているね!」と少し大げさに褒めてあげてください。
そうすれば、少しずつ子どもは勉強するモチベーションを増やします。
他人と比べる
「勉強しなさい」に次いで多いのが、
「◯◯さんは勉強しているわよ。それに比べてあなたは…」
という言葉。
子どもは誰かと比較されることで、劣等感を覚えます。
これではますます閉じこもってしまうでしょう。
その子自身に何が必要なのか、何をすべきなのかを伝えることは大切です。
ただし、この際に誰かと比較することはやめましょう。
不登校の中学生の勉強方法
最後に、不登校の中学生でも取り組める具体的な勉強法について解説していきます。
1.動画学習
近年、教育のオンライン化が進み、質の高い動画学習をいつでもどこでも行なえるようになりました。
YouTubeにて無料で勉強することも可能です。
動画学習は自分のペースで進められます。
分からないところがあれば戻って見直したり、復習のときは2倍速にして進めたりと、そのときどきで使い分けて行いましょう。
しかし、スマホから動画を見ると、ついついスマホゲームやSNSを触ってしまう恐れもあるのでお気をつけください。
2.学校の教材
学校からもらった教科書や問題集を使って自習することもできます。
手軽に勉強でき、コストも抑えられます。
まず教科書をざっと読み流れを確認しましょう。
その上で、重要な箇所を中心に読み直します。
最後に、問題集で理解できているか確認しましょう。
ただし、この勉強法は勉強のモチベーションを維持することが困難です。
また、質問できない環境であることもデメリットとして挙げられます。
3.通信教材
紙の教材だけでなく、タブレット教材や映像授業など、通信教材の種類はさまざまです。
子どもに合った教材を選ぶことができます。
また、郵便やインターネットを通じて学習進度も管理してくれるため、モチベーションも維持しやすいです。
ただ、すぐに質問に答えられないことがあったり、やる気が無くなったときに溜めてしまったりというデメリットもあります。
4.家庭教師
家庭教師は、自宅にいながらマンツーマン授業を受けられるため、不登校の中学生におすすめの勉強法の1つです。
また、家族以外の人と話す機会ができるため、子どもに活力が与えられることもあります。
しかし、全家庭教師が不登校に理解を持っているとは限りません。
家庭教師と子どもの相性が悪ければ、状況が悪化する可能性もあります。
家庭教師選びは慎重に行いましょう。
5.塾
塾も不登校の中学生が勉強できる環境です。
外出するきっかけになり、同学年の子どもや家族以外の大人と関わる機会にもなります。
同級生の目を気にしてしまうようであれば、個別指導塾という選択肢もあります。
不登校の子ども専用の塾もありますので、近くの塾をチェックしてみると良いでしょう。
しかし、外出することが困難であったり、他の子どもがいるとそわそわしてしまう子には適していません。
塾を検討している方は、子どもとよく相談してから決めましょう。
6.フリースクール
フリースクールとは、何らかの理由で学校に行かなくなった子どもが学校の代わりに過ごす場所です。
勉強のサポートだけでなく、カウンセリングを受け付けているフリースクールもあります。
フリースクールは1校ごとにカリキュラムが組まれています。
子どもにあったフリースクールを選びましょう。
ただ、地方によってはフリースクールが近くにないこともあります。
また、費用も比較的高いという点もデメリットの1つです。
7.教育支援センター
民間が運営しているフリースクールに対して、教育支援センターは市町村の教育委員会が運営している公的な教育機関です。
公的機関なので、基本的に費用はかからず、学校も出席扱いにもなります。
フリースクール同様、カリキュラムはさまざまですが、どれも学校復帰を目的とした指導が行われます。
子どもの中には、この目的が負担となる恐れもあるでしょう。
教育支援センターを検討している場合、事前に子どもに教育支援センターはどのような場所なのか伝えてください。
8.オンライン学習コーチング
塾や家庭教師は週何日かのみの指導です。
学校の授業を受けていない不登校の中学生にとって、週何日かのみの指導はものたりないでしょう。
学習コーチングは、毎日の学習をサポートします。
また、子どもに合わせたカリキュラムが組まれ、毎日の学習進捗の確認も行います。
オンライン上で充実したサポートを受けたい子どもにおすすめです。
まとめ
心身的に疲れている不登校の中学生にとって、勉強することは困難です。
まずは、心身ともに回復することを優先し、子ども自ら勉強しようと思うまで保護者は待ちましょう。
とはいっても、何もしないと状況は変わりづらいです。
子どもがやる気を出したときのために、環境を整えるなどして、準備しておきましょう。