2022年4月より、社会科では新たに「歴史総合」「地理総合」「公共」が高校の必修科目となりました。
しかし、学校からは教科書と参考書だけしか配布されず、どのように勉強したら良いのか分からない…という方が多くいます。
さらに、書店でも歴史総合の参考書や問題集はまだあまり置かれていません。
そこでこの記事では、社会科教員免許を保持している筆者おすすめの歴史総合の参考書と問題集をご紹介します。
また、歴史総合の勉強法も解説していますので、ぜひご参考にしてください。
- 歴史総合の自習をしたい方
- 歴史総合の成績を上げたい方
- 歴史総合の勉強法がわからない方
歴史総合はこれまでの歴史科目と何が違うの?
歴史総合とは
まずは、歴史総合とはどのような科目なのかについて知っておきましょう。
歴史総合とは、これまでで言う日本史Aと世界史Aを組み合わせた科目です。
これまでは、高校の歴史学習は下記の4つに分けられていました。
- 日本史A:近現代中心の日本史
- 日本史B:古代から現代までの日本史
- 世界史A;近現代中心の世界史
- 世界史B:古代から現代までの世界史
一方、日本史Aと世界史Aを組み合わせた歴史総合は、「日本と世界の近現代史」を学ぶ科目です。
この歴史総合を経て、「歴史総合、日本史探求」「歴史総合、世界史探求」へ進みます。
また、学習指導要領によると、歴史総合は「近代化」「大衆化」「グローバル化」のテーマをもって学習する科目と位置付けられています。
つまり、簡単に「日本史Aと世界史Aの組み合わせ」と記載しましたが、歴史の出来事を覚えるだけでなく、「なぜ産業革命が起きたのか」などのテーマをたてて歴史を学ぶ科目ということです。
歴史総合が導入された背景
歴史総合が導入された背景には、下記の4つの要因があります。
- 近現代史分野の学習不足
- 日本史の必修化が求められた
- 歴史は暗記科目という認識の打破
- グローバル化への対応
この背景を知ることで、歴史総合で何を学ぶのかが見えてくるでしょう。
近現代史分野の学習不足
従来の歴史の授業では、古い時代から学ぶ傾向にありました。
そのため、近現代史分野の学習不足が目立つ結果が出たのです。
この結果は、2005年に行われた「教育課程実施状況調査」によって明らかになりました。
この調査によると、近現代史分野において、生徒の標準的な正答率が低いという結果が出たのです。
日本史の必修化が求められた
これまでの学習指導要領では、世界史は必修科目でしたが、日本史は選択科目となっていました。
そのため、日本史を全く勉強せずに高校を卒業した方もいたのです。
この状況に、「自国の歴史を学ばなくて良いのはおかしくないか…」という声が上がり、日本史の必修化が求められました。
歴史は暗記科目という認識の打破
これまでの歴史科目といえば、
- 年号を語呂合わせで覚える
- 何度も書いて人名や事件名を覚える
といったように、暗記が重視されていました。
そのため、多くの方は「歴史といえば暗記科目」と考えていたでしょう。
文部科学省はこの認識を打破しようと、今回の学習指導要領で「歴史総合」を導入したのです。
グローバル化への対応
現在の日本は、グローバル化が進んでいます。
しかし、日本はどの国と繋がりが深く、どの国とどんな問題で対立しているのかを知らない方も多くいるでしょう。
「歴史総合」では、諸外国と日本の繋がりについても深く学びます。
これは、諸外国の歴史を知ることで、国際感覚を磨くことが目的です。
歴史総合導入による大学受験への影響
歴史総合が大学受験に導入されるのは2025年度からです。
大学入試センターは、2025年度共通テストの出題教科・科目を公表しています。
- 日本史B→「歴史総合、日本史探求」
- 世界史B→「歴史総合、世界史探求」
- 「地理総合、歴史総合、公共」の新設(3科目の中から2科目選択)
内容は、これまでの暗記問題とは大きく異なり、思考力や問題解決能力が重視されています。
資料も多く用いられていることも大きな変更点です。
ただ、国立大学2次試験や私立大学入試の試験内容はまだ公表されていません。
そのため、歴史総合が試験でどのように扱われているのかは今後も注意して確認する必要があります。
歴史総合の勉強方法
次に、歴史総合が導入された背景を踏まえた上で、歴史総合の勉強方法を解説していきます。
- 教科書太文字の周辺を確認する
- 太字になる人物や出来事に関する資料を確認する
- 全ての出来事に問いを持つ
教科書太文字の周辺を確認する
歴史総合では、教科書の太字よりも、その周辺の文章を確認することが大切です。
これまでの歴史学習は、重要語句や年号など「教科書の太字」を一問一答で答える問題が多く出題されていました。
そのため、丸暗記が求められていたのです。
一方、歴史総合のサンプル問題を見ると、教科書の太字周辺に書かれている状況や要因などを答える問題が多くなっています。
つまり、教科書の太字を暗記するよりも、その重要語句の要因や背景などの文脈を理解する必要があるのです。
教科書や参考書の1ページを頭の中でイメージして再現しましょう。
話の流れを具体的にイメージできたら、そのページを理解できたと言えます。
この時、全文暗記する必要はありません。
言葉や文章を覚えるよりも、時代の流れや歴史の中での位置づけなど、自分なりに理解することが大切です。
太字になる人物や出来事に関する資料を確認する
歴史総合では、資料の扱いも増えています。
実際、サンプル問題を見ると、資料問題が多く出されていることが分かります。
そもそも、歴史が現代に受け継がれているのは、過去の資料が残っていたからです。
つまり、学者が資料を読み解き、織田信長や産業革命など歴史重要語句が受け継がれているということです。
この歴史を読み解く力が現在重要視されています。
そのため、重要語句に関する資料を読み解き、なぜこの語句が重要とされているのかを理解することが大切です。
全ての出来事に問いを持つ
歴史総合は、全ての出来事に問いを持つことが大切です。
歴史を読み解くと、縄文時代から現代まで全て繋がっています。
そのため、逆算して勉強を進めていくと効果的です。
例えば、「第二次世界大戦はなぜ起きたのか?」という問いを持ったとします。
これを調べると、「イギリスとフランスがドイツに宣戦布告をしたから」という答えが出ますよね。
さらに「ではなぜイギリスとフランスはドイツに宣戦布告したのだろう?」と問いが生まれるでしょう。
この問いに対しても「ドイツがソ連と独ソ不可侵条約を結んだから」という答えを導いたとすると、また「独ソ不可侵条約はなぜイギリスとフランスにとって脅威だったのだろう?」という問いが生まれます。
このように問いを持ち続け、答えを導いていくと、歴史はすべて繋がっていきます。
歴史総合おすすめ参考書&問題集
歴史総合は、まだ導入したばかりの教科になるので、書店に行っても参考書や問題集はあまり置かれていません。
一方、amazonや楽天市場ではいくつか出品されています。
そこで、実際に私が利用しておすすめの参考書&問題集を3つご紹介します。
- とってもやさしい歴史総合
- 新しい教科書に学ぶ大人の教養
- 高校標準問題集 歴史総合
とってもやさしい歴史総合
- 歴史総合の定期テスト対策を行いたい方
- 歴史分野が苦手な方
とってもやさしい歴史総合は、歴史総合の内容をゼロから丁寧に解説している参考書です。
1単元が2ページで構成されているため、無理なく基礎知識をおさえられます。
また、文章だけでなく地図や図版の資料を用いて重要事項を説明しているので、見やすくなっています。
歴史総合の勉強の入り口として扱うことにおすすめです。
新しい高校教科書に学ぶ大人の教養 歴史総合
- レベルの高い歴史総合に触れたい方
- 歴史が得意な方
新しい教科書に学ぶ大人の教養は、大人向けの歴史総合参考書です。
大人向けになっていますが、内容は高校生が学ぶ歴史総合と変わりません。
歴史総合で習う時代の背景を、資料も用いながら細かく説明しています。
また、筆者は熱血予備校講師として有名な方で、ちょっとしたウンチクなども挟みながら気軽に学べる1冊となっています。
高校標準問題集 歴史総合
- 歴史総合の問題を解きたい方
- 定期テストだけでなく、大学入試の対策も行いたい方
高校標準問題集は、3ステップ式で学習を進める問題集です。
「基本問題」「標準問題」「チャレンジ問題」と段階的に歴史総合の問題を解くため、着実に実力が身につきます。
「基本問題」では、問題の右側に解説があります。
この解説が充実しているため、学習の要点や注意事項も確認することが可能です。
スタディサプリなら歴史総合の授業も受けられる
上記の参考書を活用すれば、歴史総合の自主勉強はできます。
しかし、歴史総合を誰かから教えてもらいたい!という方もいるでしょう。
歴史総合はまだ導入して間もないため、学校の先生たちも手探りで授業を行なっています。
そのため、学校の授業では物足りない方もいるのではないでしょうか?
しっかりと歴史総合の授業を受けたい方には、スタディサプリがおすすめです。
スタディサプリでは、すでに歴史総合や地理総合、公共の授業が導入されています。
ステディサプリで歴史総合の授業を務めるのは、伊藤賀一先生です。
伊藤先生は、膨大な知識量があるため、様々な角度から歴史のストーリーを解説してくれます。
現在、スタディサプリは2週間無料体験授業を行えます。
この機会に、試してみてはいかがでしょうか?
今から歴史総合を勉強して受験に備えよう
歴史総合は、今までの歴史科目と違って、暗記よりも思考力や問題解決力が重視されています。
そのため、暗記だけしていても意味がなく、十分な理解が必要です。
2025年に大学受験を行う方は、歴史総合だけでなく、情報科目の追加など準備する時間が多く必要になります。
そのため、受験対策を行う時間を多く取らなければなりません。
つまり、3年生になってから準備しているようでは間に合わない恐れがあるのです。